スリムな体の獲得と唾液減少
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誤ったダイエットによるスリムな体の獲得と唾液減少という嬉しくないオマケ
唾液減少
最近若い人達に唾液の分泌量が減少するという症例が多発しているといわれています。
唾液は耳下腺、顎下腺、舌下線から分泌されます。唾液腺は血液中から水分、各種アミノ酸、脂肪酸、グルコースなどを取り込んで唾液を精製します。この導管を通って口の中に唾液が分泌されます。
過度の緊張状態を余儀なくされたような場合、自律神経に混乱を来し、喉が渇いたりすることがあります。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、通常、緊張したり、興奮したりしますと、交感神経は副腎皮質を刺激し、アドレナリンを分泌します。すると血管は収縮し、血流量は減少します。唾液は血液中の水分を吸収し、作られているため、唾液量が減少します。しかし、原因となるものが取り除かれると唾液は正常に分泌されるのです。
しかしながら、過度のストレスを受けたりしますと、交感神経と、副交感神経の切り替えがうまくいかず、本来ならば、一時的な口の渇きが慢性化してしまいます。
唾液の減少は私たちの体にさまざまな影響を及ぼします。
唾液の分泌量の一般成人の平均は1,500㍉㍑といわれています。唾液の成分の99.5㌫は水分です。残りの0.5㌫の成分が人体にとってきわめて重要な成分が含まれているのです。
唾液の成分
┏①アミラーゼ…食べ物の消化吸収を助ける
┠②ヒスタチン…歯をコーティングして歯周病など
┃ から守る
┠③免疫グロブリン…細菌やウイルスを撃退する
┠④組織トランポプラスチン…血液の凝固を助け
┗ 出血を止める
上皮成長因子
そればかりではありません。わたしたちの内臓や脳に影響を与える驚くべき物質が含まれているのです。それはEGF=上皮成長因子(Epidermal Growth Factor)というもので細胞を強力に刺激し、再生を促します。皮膚組織や角膜の増殖を促進します。全身のいくつかの場所でこれの存在が認められましたが、唾液中には他の細胞の数倍の量が含まれています。
熱いものや刺激物を食べたりして傷ついた食道内壁を修復したり、胃潰瘍にも効果を示したりします。強い酸でも構造が破壊されず、そのままの状態で胃に吸収され、壊れた組織を修復していくのです。母乳などにも多く含まれ、赤ちゃんの内臓の内皮を整え成長を促しています。
角膜の損傷を治す効果もあるといいます。そして現在角膜治療用の目薬の開発が進められています。いえ、もうすでに完成しているのかもしれません。このように唾液中には体にとって有効な成分が数多く含まれています。しかし、現代の日本人は、ストレスや食生活の変化、さらには過度のダイエットによって唾液の量が減少しているといわれています。当然EGFの量も減少してしまいます。胃潰瘍なども多発している現在、健康維持のために、もっと唾液を分泌するようにするべきなのです。
唾液を多く分泌するための方法
┏①意識的に硬いものを食べる
┠②噛む回数を増やす
┗③大きな声ではっきり喋る
口を何度も動かすことで、唾液腺をマッサージ刺激しますことができ、唾液分泌が促進されます。
自律神経も大きく関与しているため、ストレスを溜めないように気分転換を図り、リラックスすることも必要です。
さらに唾液の成分には、NGF(Nerve Growth Factor)= 神経成長因子が含まれており、収縮して死滅しかけていた神経細胞の成長を促進し、記憶力を回復する働きがあることをラットを使った実験で確認しています。人間が記憶を形成するメカニズムは次のようになっています。
記憶のメカニズム
脳内の神経細胞と神経細胞をシナプスがつながれます。それを通してアセチルコリンなどの神経伝達物質が移動します。こうして情報を伝え、記憶のネットワークを作るのです。
しかしシナプスが壊れてしまうと情報は伝達されません。これが“ボケ”症状なのです。一方NGFには神経細胞の末端を引き寄せ、再びシナプスを形成する働きがあります。これによって壊れかけたシナプスを再び形成し、記憶力の機能回復を促すのです。
ボケ防止
よってアルツハイマーのような記憶障害を伴う疾患には脳内のNGF量を増やすことが、神経細胞の保護という観点から非常に効果があると考えられています。
NGFを脳に直接投与します方法は神経過敏などの副作用から実用化が疑問視されていますので、NGFの合成分泌を活発にさせようという考え方からその成果が期待されています。
またNGFの合成を促進させる候補となる物質も確認できそうではあります。それにより神経細胞の変性を伴う疾患に応用していくという可能性も期待できそうです。
老化防止の鍵は我々の唾液の中にあったといえるのです。延いては澱粉を主食とする伝統的な日本型食生活によって正常な唾液分泌が行われるのが望ましいといえましょう。