敵ではないと思った小麦粉が
oO☆゜.。+o●☆.。+oO☆.○。o∞○。○o’●oO☆゜.。+o●☆.。+oO☆.○。o∞○。○o’●
敵ではなかった小麦粉が
最近ツイッターデ以下のような投稿を目にしました。
小麦を食べることで分泌される「ゾヌリン」は血液脳関門を壊す可能性がある。血液脳関門が壊れると本来通過してはいけないものまで脳に入ってしまうので脳が炎症をおこす。ADHDの子にグルテンフリーをやってもらったら症状がピタッと治まったという報告が多いのはこれが一因。試す価値はあると思う🍀
ということは、アルツハイマー型認知症は脳炎であるという説もありますので、グルテンフリーによってADHD同様改善が見込まれる可能性も考えられます。それはさておき、私の個人ブログサイトでは小麦粉は米と同じ立ち位置で、脳のエネルギー源である糖を産み出す食材と認識していました。
しかしながら、輸入小麦粉は除草剤や農薬のグリホサートのが問題視される中、それについては虚偽であったり、デマだという投稿もあり、判断を難しくしていましたので、念のため国産小麦粉を使用していました。
ところが、先のような投稿がありますと、さらりと流すわけには参りません。早速ゾヌリンについて調べてみました。
小麦に含まれるグルテンやある種の腸内細菌は、腸の細胞に働きかけてゾヌリンというたんぱく質の分泌を促すそうです。ゾヌリンはタイトジャンクション(※)を分解して細胞の隙間を広げ、リーキーガット(※※)を誘起します。このときゾヌリンも漏れ出して血液中に入るので、血液中のゾヌリン検査はリーキーガットの有無や重症度を判定する良い指標となります。
※…密着結合(tight junction)隣り合う上皮細胞をつなぎ、様々な分子が細胞間を通過するのを防ぐ、細胞間結合のひとつ。
※※…リーキーガット(leaky gut=漏れやすい腸)とは?腸の内表面、一重の細胞の層で覆われています。細胞と細胞は互いに密着し、さらにタイトジャンクションとよばれる装置で隙間をシールしています。健康な人ではこのシールが正常に働き、腸の内容物が漏れ出すのを防ぐバリアの役割を果たしています。しかしシールがうまく働かないと、細胞と細胞の間にわずかな隙間が開いてしまい、腸の内容物が漏れ出します。これがリーキーガットといわれる状態です。腸の内容物には、未消化の食物・腸内細菌・腸内細菌が産生した様々な化学物質・毒素などが含まれているので、これらが腸外に漏れ出すと健康に重大な影響を及ぼします。
血中のゾヌリン量を測定することでリーキーガットのリスク度を調べられます。
腸管細胞のすきまはゾヌリンという蛋白質の刺激によって開かれますが、 健康な人では血中のゾヌリンが少ない為、すきまは開かない状態になっています。 ところが、様々な要因で過剰に増えますと、細胞間に隙間が出来、腸関連疾患だけでなく、肥満、アレルギー、精神疾患など多く悪影響を引き起こすと言われています。
リーキーガットによる疾患
腸から漏れ出した物質は、免疫系を刺激してアレルギーや自己免疫疾患の原因となり、また慢性的な炎症を引き起こして様々な疾患のベースとなります。腸内細菌が産生するある種の化学物質は、腸から漏れ出して血液中に入り、脳に作用して精神疾患の誘因となります。
自己免疫疾患:セリアック病、1型糖尿病、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症など 代謝性疾患:肥満、2型糖尿病、冠動脈疾患など アレルギー性疾患:非セリアック・グルテン過敏症、喘息など 過敏性腸症候群 精神疾患:認知症、抑うつ、不安、統合失調症、自閉症など
リーキーガットの原因
リーキーガットの原因として良く知られているのが、小麦のグルテンです。グルテンの分解物であるグリアジンが上皮細胞に結合すると、上皮細胞内に信号が送られゾヌリンというたんぱく質が過剰に分泌されます。分泌されたゾヌリンは、上皮細胞自身に改めて結合して信号を送り、その結果、タイトジャンクションを形成しているタンパク質どうしの結合がほどけます。グルテンのほかにも、タイトジャンクションを弱める作用のある食品成分として、アルコール(エタノール)、キトサン、カプシアノサイド(唐辛子成分)などが報告されているという。食品による直接的効果のほか、繊維質の少ない食事や火傷のようなストレスによって起こる腸内細菌バランスの変化によってもリーキーガットが引き起こされることが報告されています。
リーキーガットになると
リーキーガットになると、食物成分や細菌が体の中に漏れていきます。腸管では無害に存在する食物成分は、体の中では外来異物と認識されて抗体がつくられ、抗体ができることが食物アレルギーのきっかけとなります。また食物成分や、腸内では仲間としての位置づけの腸内細菌も、体の中に移行すると、免疫系から外来異物として攻撃を受けて、そこに炎症が起こります。もし原因が取り除かれずに持続すればリーキーガットが慢性的に引き起こされ、慢性的に炎症が続きます。リーキーガット由来の慢性的炎症は、糖尿病、高脂血症や肥満、認知症の進行を促進すると言われています。
リーキーガットとLPS
※LPSは「リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)」の略称で、日本語では「糖脂質」や「リポ多糖」と呼ばれます。名前の通り糖と脂質が結合した構造をしており、糖部分は水溶性、脂質部分は脂溶性であることから、水と油の両方に溶ける性質を持っています。ただし通常は、水の方によく溶けます。
グラム陰性細菌の種類が体の中に入った時、グラム陰性細菌の持つLPSは、強く炎症を誘導します。ただし、健常な人の腸管その他の消化管や皮膚においてLPSが炎症を起こすことはありません。
LPSは健康な人の腸内に常に存在していて、リーキーガットの直接的要因となることはありません。上述したように、腸内は通り過ぎる食物も体の中に入ると異物とみなされて食物アレルギーを引き起こします。LPSも体の中に入ったときに危機のシグナルとして炎症を起こすのです。口から摂取して消化管に入るLPSを危険視する必要は全くありません。
リーキーガットは治るか?
リーキーガットは治らないのか?というと、上述したようにもともとリーキーガットは小麦蛋白グルテンの過多や繊維質不足のように偏った食事や、強いストレスが原因で起こるため、食事を見直して腸内細菌バランスを整えること、そしてストレスを発散させることで治る可能性が高いといえます。
【参照サイト】
https://takanawa-clinic.com/inspection/zonulin
https://www.macrophi.co.jp/lps/1-6.html
つまりご飯を主食とし、副食を摂りすぎない伝統的な日本型食生活を基本とすれば、たまの小麦摂取が災いすることはなさそうですが、なるべくなら国産小麦粉で心配される輸入小麦粉の良くない可能性を回避するのが得策と言えましょう。